不動産仲介業者との付き合い方(1)

収益物件は購入してからがお付き合い

(この記事は以前楽待コラムに投稿したものを再編集したものです)

同じ「不動産業者」でも異なる得意分野

一般的に「不動産業者さん」とひと括りにしてしまいますが、賃貸物件を扱う業者さん、売買物件を扱う業者さんと、宅建業者の免許を持っている同じ業種なのに、取り扱う物件や得意なエリアはそれぞれ異なります。

中でも我々不動産投資家との付き合いの深いのが、主に収益物件を扱う不動産業者の方たちです。

私が所有する区分マンションの一つは、一般的な売買物件を扱う業者さんに仲介してもらったのですが、そこは自宅を購入する人向け、いわゆる「実需向け」の物件紹介が多いので、アパートについては収益物件を扱う業者さんに仲介をお願いしています。

収益物件を扱う不動産業者さんと、そうでない物件を扱う不動産業者さんも、物件が集合住宅か一軒家かの違いでしょと思うかもしれませんが、決定的な違いは、「顧客目線」という考え方が有るか無いかです。

さて、不動産投資に関係の無い方は、一生のうちに何回不動産業者さんに売買物件の仲介をお願いするでしょう?

多くの方は自宅を購入するときの1回では無いでしょうか。

私が自宅を購入した際、不動産業者さんの事務所に行って、何枚もの書類に住所・氏名を書き込み、それまで使ったことの無い実印を何回も押しながら「この先、こんな面倒くさいことは、二度とやる機会が無いだろう」と思っていました。

しかし不動産投資を始めると、当然ですが最初の区分マンション1部屋で終わる話ではなく、投資規模を拡大する為に物件を追加で取得することになり、「何枚もの書類に住所・氏名を記入、押印」という面倒な作業を何度も繰り返すことになります。

アフターサービスが重要

少し話がそれてしまいましたが、本題に戻ります。

不動産投資家というのは物件を複数所有する人が多く、場合によっては所有する物件で以前お世話になったのと、同じ不動産業者さんに物件を仲介してもらう可能性があります。

もしくは最初に紹介された物件を購入するに至らなかったとしても、同じ不動産業者さんから別の物件を紹介してもらったり、仲介してもらう可能性もあります。

これが「顧客」というリピート購入が期待できる客に対する概念です。

先に申し上げたとおり、一般的な売買物件、例えば自宅として使用する予定の一軒家を仲介する不動産業者さんにしてみると、この一軒家の取引は最初で最後となる可能性が非常に高いので、「契約して、仲介手数料を得る」ことが最も重要であり、購入後のアフターサービスは基本的にあまり重要ではありません。

(もちろん、自宅を購入した直後は色々と手伝ってくれますが、年に2回以上電話がかかってくることはありません)

一方で収益物件を仲介する業者さんにしてみると、「契約して、仲介手数料を得て」終わりではなく、できれば賃貸経営が順調に進んで、次に別の物件を仲介できるかもしれないという期待がありますので、物件を購入してくれた不動産投資家とは長期的な関係を築こうとします。

収益物件を扱う全ての不動産業者さん、担当の方がこうした「アフターサービス」の考えを持って営業されているかどうかは分かりませんが、そういう考え方を持った方に担当してもらえれば、不動産投資家として幸運だと思います。

収益不動産は無料面談から

さてここからは、私が一棟目のアパート取得に至るまでに出会った、収益不動産専門業者3社のエピソードをご紹介します。

1社目は業界では割と老舗の収益物件専門の業者さんのC社です。
(もはやかぶり物といえばC社しか思いつかないぐらいです…って何の老舗やねん!)

株式会社クリスティ (@9BEoLzn0eIcv1Jy) | Twitter
注:本文と画像は関係ありません

ータルサイトから物件の問い合わせをこのC社にすると、数日後に電話がかかってきて、問い合わせた物件以外にも紹介ができるので、一度面談に来て欲しいとの話でした。

恐らく20代の若い営業マンと最寄駅で待ち合わせをし、事務所でその支店の支店長と面談を行いました。

この支店長は感じの良い方で、収益物件の扱いにも慣れているらしく、なかなか良い物件に巡り会うことができずイライラしていた時期だったせいもあり、話を聞けば聞くほど期待が高まったのを憶えています。

その日は既に日も暮れていたので、物件資料をいくつか見せてもらい、後日アパートを4件見せてもらう約束をしました。

そして迎えた内見の当日ですが、物件から物件に移動する車中では、前回お会いした若い営業マンが支店長に何度も怒られていたのが強烈に印象に残っており、そのせいでこの業者さんに対しては物件を見る前から不信感を持ってしまいました。

いろいろな叱られる部下のイラスト(男性) | かわいいフリー素材集 いらすとや
客のいないところでやってくれよ…

紹介された4つの物件の中には表面利回りが10%を超える物件があり、私にとっての本命でしたが、最終的に支店長が勧めてきたのは比較的築年数の浅い物件で、表面利回りは8%程度です。

築浅なので確かに建物はまだきれいでしたが、建物の裏にそびえ立った見上げるような高さの擁壁を見てしまうと、どう考えても駆け出し大家に安心して勧められる物件とは思えません

フリーウォール 箱型擁壁工法|施工例 コンクリート二次製品の製造販売 アスザック株式会社 インフラエンジニアリング事業部 長野県高山村
写真はイメージです

にもかかわらず、支店長の押しは非常に強く、見学が終わるとすぐに「この築浅の物件はすぐに売れてしまうから、今すぐ購入希望の書類に記入して欲しい」との申し出がありましたが「収支をちゃんと計算してから返事します」と言ってやんわりと断りました。

実はそのやり取りの直前にコンビニに立ち寄ったのですが、私一人がコーヒーを買って車に戻る途中で「さっさと書類にサインさせればいいから!!」と支店長が若い担当者に怒鳴る声が聞こえたので、正直この業者さんはダメだなと思ったのです。

後日、本命と考えていた利回り10%超の物件について購入希望の書類をこの業者に送りましたが、融資の目途が立たず、そうこうするうちにこの若い営業マンも退職してしまい、話は立ち消えとなりました。

無料面談で得た大事な事とは

この不動産業者さんは収益物件を専門に扱っているにもかかわらず、あまり顧客目線での営業を行っていないように思われて非常に残念でしたが、私にとっては貴重な経験となりました。

数千万円から1億ぐらいまでのアパートやマンション1棟の成約で、仲介した不動産業者が儲かるのは数十万円から数百万円なので、担当した営業マンにとってみれば、せいぜいその月のノルマが楽に達成できるとか、ボーナスの額が少し増える程度の影響しか無く、ましてや会社の業績を大きく変えるような出来事ではありません。

一方で、我々のようなサラリーマンにとってみれば、年収の数倍にもあたる物件の取得は、購入したその後の人生が大きく変わるような大きな買い物で、もし失敗しても「投資は自己責任」の一言で片づけられて終わりです。

ですから、他人の人生がどうなろうが自分の立場が良くなりさえすればいいんだとばかりに、数千万円の物件購入について、即決を促すような営業をする業者さんに対して、私は要注意だと思います。

ただ、この支店長が言っていた、「収益不動産を取得するなら、1都3県を出てはいけません。」というルールについてだけは、教えてくれたことに対して非常に感謝しています。

コモディイイダ | 店舗情報
北関東は一都三県には入りまへん

当時は漠然と「住んでるところに近い方がいいな」ぐらいにしか思っていませんでしたが、実際に収益不動産を取得してみると、物件が近くにあることで、退去時の状況を見に行ったり、DIYでリフォームしたりが、あまり億劫にならないのはもちろんですが、周辺の環境を確認したり、空室時に周りの賃貸仲介業者に挨拶に行ったりと、物件にまつわる様々な行動において、地理的な要因による制限が少ないのは近場に物件を持つことの大きなメリットだというのが良くわかります。

と言う訳で、印象のあまり良くなかった収益専門の不動産業者でしたが、この支店長の一言は今でも物件を選ぶ上での大事な教訓となっているのは無料面談における最も大きな収穫です。(店長のとこから物件買わなくてゴメンね)

次回は残りの2社に関するエピソードをご紹介します。

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