DIYリフォームの考え方について

高くても、間に合わぬなら、任せよう
(この記事は以前楽待コラムに投稿した記事を再編集したものです)

賃貸経営とアルバイト経験

本業が多忙になり、大家業では空室が出たりと、なかなかコラム執筆に力が入らなかったこの数ヶ月です。(追記:当時の事はもう覚えていませんが、出張が重なったりして忙しかったんだと思います)

このままコラムを投稿しない日が続いて、アカウント停止になってしまうともったいないので、慌てて再開しました。(追記:当初、運営からは楽待コラムのアカウントに3ヶ月アクセスが無いとアカウント停止になると聞いていましたが、実際にそのような制限は無かったそうです)

おいおい楽待さん、脅さないでくれよ

最近「DIY向けフロアタイル施工セミナー」を行ったのですが、思っていたより反響があり驚いています。(追記:コロナの影響もあって、現在セミナーは実施していません)

都内某店で飲み物を飲みながら、プレゼン資料や簡単な教材を使って座学セミナーを行い、後日ちょうど空室になってリフォーム中の物件に来ていただいて、説明をしながら実際にフロアタイルを施工する実技セミナーを行うという内容です。

フローリングの床に増貼りするため接着剤を塗布した状態です

実技セミナーでは、入り組んだ部分の近くにタイルを並べて、どこを切り落とせば良いか悩んでいたり、恐る恐る接着剤を広げながら、思いも寄らない方向に接着剤が広がってしまって困っている受講生の方を見ていると、同じように自分が初めて床材料を触ったときの事を思い出し懐かしい気持ちになりました。

私は大学生時代に、親戚の紹介で内装業のアルバイトをやっていました。一言で内装業といっても、壁紙専門、床貼り専門、建具専門など、施工する場所や内容により専門の業者が色々あります。私がアルバイトしていた会社は特に床貼り専門の業者だったので、賃貸アパートでは一般的なクッションフロア(よくCFと略して呼ばれています)、学校の廊下などに施工する「Pタイル」、オフィスなどに施工する「タイルカーペット」、店舗などに施工する「人造大理石」、そして同じく店舗や住宅に施工される「フロアタイル」などを手がけていました。同年代のアルバイト代に対して、倍ぐらいもらっていたので、夏休みなど毎日のように喜んで工事現場に出かけていたものです。

まあそんな経験があったので、今でもタイル形状の床材であれば職人さんに負けないレベルで施工できる自信があります。(速さでは職人さんに全くかないませんが)

しかし当時はそのアルバイト経験が将来の副業に役立つとは、全く考えていませんでした。

ブックオフの元社長は元アルバイト

DIYは両刃の剣

実技セミナー受講生を送り迎えする車での移動中や、セミナー中に受講生の方から話を伺うのですが、皆さん色々な職業なので、本業のお話し、不動産投資やDIYリフォームへの取り組みに関するお話を聞けてとても勉強になります。

最近は築古戸建てを格安で入手し、DIYリフォームを行うのが流行っているそうで、フロアタイル施工に対する反響が大きかったことにも少し納得しました。(追記:2019年頃の話だと思います)

融資が引き締められて(個人的には、そもそも融資は簡単に受けられるものではなかったので、単に元に戻っただけだと思っていますが)、大型の物件を購入するのが難しくなった為、現金で購入できる築古の戸建てや区分マンションを入手して、DIYリフォームによりコストを抑えたうえで収益物件として家賃収入を得るというのは時代の流れでしょうね。

ただし、収益物件に対するDIYリフォームというのは両刃の剣で、何でもかんでもDIYでやれば良い(=収益性が向上する)というものでは無いというのが私の考え方です。

例えば私の得意分野はいわゆる「切ったり貼ったり」なので、フロアタイル、カッティングシート、壁紙などは自分でやりますが、日曜大工はそれほど得意ではないので、建具の取り付けなどはDIYに頼らず業者さんにお願いしています。

初めての築古アパートを取得したときは、張り切って畳の和室をDIYでフローリングにコンバートしましたが、分厚い構造材を何枚も運んだり、木材を丸のこで切断して、電動ドライバーで固定したりと、体力を使うだけでなく、ちょっとしたミスで大怪我をしていたリスクもあったので、恐らく次回別の部屋で空室が出たとしても、フローリング施工をDIYでやる事は無いと考えています。

フローリング施工前の写真
フローリング施工後の写真

ちなみに、この写真の部屋は初めて「ちゃんと」クロスをDIYで施工した部屋でもあります。「ちゃんと」と前置きしたのは、本当に初めてDIYクロス施工したのはアンティーク区分マンションで、勝手が分からず20㎝ぐらいの太さで縦に部分補修しただけでした。

もちろん業者さんにお願いするときは、複数社に相見積をとるようにし、内容と金額を考慮して依頼しています。(追記:最近はめんどくさいので過去に実績のある業者さんにお願いしています…)

安ければ良いというものでもありません。

安い物には訳がある | センチュリーコーン
まあだいたい安かろう悪かろうなんですよ

選択と集中

基本的には、経験のある得意分野のDIYリフォームは積極的に行い、そうで無い分野について時間をかけて見栄えの悪い結果になるぐらいなら、業者さんに任せて短期間で工事を終わらせるのが得策と考えています。

時間が無制限にあれば良いのですが、収益物件の場合はできるだけ早いタイミングで入居してもらい、家賃収入を得なければいけません。

DIYに時間をとられて、大切な繁忙期を逃し、何ヶ月も空室が続いてしまっては何の為にコストダウンしたのか分からなくなってしまいます。

また使い慣れない電動工具を使用中に怪我をして、本業に影響が出てしまってはサラリーマン大家として本末転倒です。

物件の種類やターゲットとなる入居者にもよりますが、例えば単身者向けの区分マンションについて、12月初旬に物件の引渡しが完了したとすると、遅くとも1月末までにはリフォームやクリーニングを完了して、内見ができる状態にしておかないと、1~3月の繁忙期を逃してその後の何か月間にわたって空室が長く続くリスクに晒されます。

逆算して考えれば、前述の例の場合だとリフォームやクリーニングに残された時間は約1ヶ月なので、その期間内にやるべき事を洗い出し、DIYリフォームと業者への委託をうまく組み合わせ、期間内に終わらないことが分かった場合は、検討していたリフォームの一部について、諦める事も含めて検討する必要があるということです。

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経営努力という観点から

一般的な物販業やサービス業においては、原材料の高騰やモデルチェンジなど、値上げする機会があるのですが、賃貸経営においては一旦賃貸契約すると入居中の家賃値上げというのは、なかなか受け入れられるものではありません。

家賃=売り上げが上がらない中で利益を最大化するには、空室を減らして家賃収入の総額を最大化し、DIYと委託を組み合わせて維持費用(修繕、リフォーム、管理)を最小化するのが基本的な経営努力の考え方で、インカムゲインを狙う賃貸経営という事業において常に意識しなければいけないポイントです。(趣味ではないんでね)

なおDIYリフォームに興味があるという方は、書籍やインターネットなどで、ありとあらゆるDIYリフォームに関する情報を収集することができるので、まずは調べてみることから始めてみてはどうでしょうか。

情報収集しながら、計画しているDIYリフォームについて以下の点についてしっかりと検討してください。

  • 成功する可能性の高さ
  • 失敗したときのダメージの大きさ
  • 失敗した時のリカバリーの容易さ
  • 成功したときのコスト削減効果の高さ
  • 委託する場合のコストの妥当性
  • スケジュールの妥当性

「DIYリフォームを行うための賃貸物件」ではなく、「利益が最大となる賃貸物件」を目指して計画を立てることが重要です。また、最終的にその物件に住むのは自分ではなく入居者の方なので、「自分が住みたいと思う物件」を意識してDIYリフォームを検討するのは悪くありませんが、むしろ家賃相場、地域制、想定される入居者像などを意識して、過度なリフォームになる事でコストアップしてしまわないよう注意が必要です。

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