年々高くなる難易度
士業としての宅建資格
1990年代までに大学受験を経験した方でしたら、旺文社の「傾向と対策」という有名な参考書を見たことがあったり、使っていたことがあったりしたと思いますが、今はあまりポピュラーではないみたいですね。宅建試験も出題傾向を分析して、メリハリのついた対策を行うことで、少しでも合格に近づくことができます。
2020年以前の合格基準点を見ると、ほとんどが35点以下です。不動産適正取引推進機構によると、毎年問題の難易度は変わらないように作成しているそうなので、近年は受験する人たちのレベルが高くなることで、宅建試験は難易度の高い資格試験となっているのかもしれません。これまでは、あいまいに覚えていても合格できていたのが、ここ数年はより高い精度の解答能力が求められ、将来的には問題の難易度そのものを上げて、合格者数を調整するような資格試験になる可能性もあると考えています。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | 合格点 |
令和2年度 (12月実施分) | 35,261人 | 4,610人 | 13.1% | 36点 |
令和2年度 (10月実施分) | 168,989人 | 29728人 | 17.6% | 38点 |
令和元年度 | 220,797人 | 37481人 | 17.0% | 35点 |
平成30年度 | 213,993人 | 33,360人 | 15.6% | 37点 |
平成29年度 | 209,354人 | 32,644人 | 15.6% | 35点 |
平成28年度 | 198,463人 | 30,589人 | 15.4% | 35点 |
平成27年度 | 194,926人 | 30,028人 | 15.4% | 31点 |
平成26年度 | 192,029人 | 33,670人 | 17.5% | 32点 |
平成25年度 | 186,304人 | 28,470人 | 15.3% | 33点 |
平成24年度 | 191,169人 | 32,000人 | 16.7% | 33点 |
平成23年度 | 188,572人 | 30,391人 | 16.1% | 36点 |
宅建は以前「宅建物取引主任者」という資格でしたが、現在は「宅地建物取引士」という名前に変わり、(賛否両論あるとおもいますが)他の「士業」と肩を並べられるほどに、業界としても専門性の高い資格であると認められることを目指しているので、宅建試験の難易度が年々高くなることは、ある意味必然的であると言えるでしょう。
試験結果の分析
前回の投稿でご紹介した通り、2020年10月に実施された宅建試験では、辛くも39点で合格することができたのですが、科目ごとの正答数の内訳は下の表のようになっていました。
科目 | 問題番号 | 正答数/問題数 | 正答率 |
権利関係 | 問1ー問14 | 10/14 | 71.4% |
法令上の制限 | 問15-問22 | 6/8 | 75.0% |
税その他 | 問23-問25 | 3/3 | 100.0% |
宅建業法 | 問26-問45 | 17/22 | 77.3% |
5点免除 | 問46-問50 | 3/5 | 60.0% |
合計 | (39/50) | (78.0%) |
まんべんなく間違って、いや、まんべんなく正答できているのですが、「権利関係」の正答率が若干低く、「宅建業法」の正答率が若干高くなっています。(「税その他」は僅か3問と母数が少ないのであまり参考になりません)。私は元々理系科目は物理、数学のみ、文系科目は英語のみが得意という偏った人間です。従って、国語の理解力を求められる権利関係(民法等)はそもそも苦手なので、まあ妥当な結果でしょう。(ちなみに、暗記も苦手です)
今回の宅建受験については、ギリギリまで申し込むかどうか悩んでいたという経緯があったので、本格的に勉強を始めたのは受験の申し込みをした7月からです。前年学習したことによる多少の予備知識や、収益物件を所有していることによる不動産の知識が多少あったとはいえ、決して十分な準備期間とは言えません。それでも合格に必要な点数を取ることができたのは、「宅建業法」で正答数を稼いだからだと分析しています。
予備校や通信講座でも「宅建業法を重点的に学習する」というテクニックは推奨されているようで、特に短期間での合格を目指そうとする人にとっては、理にかなった学習方法だと思います。というのも、宅建業法で出題される問題はある程度パターンが決まっていて、学習した量(時間)に比例して正答率が高くなるからです。
権利関係はほどほどに
一方で権利関係は問題を読み解く力を求められるので、国語の苦手な私にとってはある意味鬼門です。宅建受験の1週間前には、無料アプリを使った過去問10年分の演習で95%ぐらいは正答できるようになっていましたが、それでも権利関係が不安だったので、解いた事のない更に過去の問題を探して権利関係の知識を補填しようと試みました。
これは本当に悪手でした。
元々あやふやにしか分かっていない分野なのに、正しい知識や理解力を習得せず、更に知識を増やそうとしたため、かえって混乱してこれまで正答していた問題まで間違えるようになり、むしろ状況は悪化しました。
そうなってはじめて、講師のどなたかが「権利関係は深入りしてはいけない」と仰っていたのを思い出しましたが、「時既に遅し」、「後の祭り」、「後悔先に立たず」という三重苦状態でした。
問題を解く順番
2019年に受講した某大手の通信講座では、試験当日はまず「宅建業法」からとりかかり、一通り終わってから「権利関係」にとりかかるというやり方を勧めていました。この考え方は次の2点から有効だと考えます。
- 「宅建業法」の問題は比較的難易度が低く、初学者でも得点を取りやすい
- 「権利関係」でつまづいて緊張してしまい、本来取る事のできた「宅建業法」でも問題を落としてしまうという状況を回避する
私は当日時計の持ち込みを忘れた結果、問1から順番に解いていくしかなかったのですが、効率よく合格しようとするなら覚えておいても悪く無いテクニックかもしれません。
実力勝負
小手先のテクニックは、高校や大学の受験勉強、様々な資格試験に共通で存在しますが、それは「短期間で効率よく勉強して、あわよくば合格できるかもしれない」という期待を前提としたものです、やはり合格するための王道は、そうしたテクニックを使わなくとも合格できるよう周到に準備し、合格点を十分に取れる実力をつけ、そして試験当日にその実力を発揮することです。
先にもお伝えした通り「宅建業法」は学習量に比例して結果が表れる科目なので、「宅建業法」に関する過去問演習を行う際は、勘違いやケアレスミスを無くし、確実に点数が稼げるような学習が必要です。一方権利関係について、私自身苦手な分野でもあるので、具体的なアドバイスは控えますが、私の二の前にならないよう、試験直前の深入りだけはやらないよう気を付けてください。「法令上の制限」など他の科目に時間を割いた方が高得点を狙えます。
「法令上の制限」は暗記項目が多いので、暗記の得意な人は点数を稼ぐことができますが、そうでない場合は試験直前に記憶がしっかり残るよう、計画的に学習した方が良いでしょう。
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